頭部外傷M4 赤字が変更点です
頭部外傷
【損傷部位による分類】
頭部外傷
頭蓋外組織 皮膚
軟部組織 皮下組織
浅側頭動脈
帽状腱膜
側頭筋
筋膜下組織
側頭動脈
骨膜
骨
頭蓋内組織 脳
頭蓋外の外傷
皮膚 挫創
皮下血腫 浅側頭動脈などの
損傷による
帽状腱膜下血腫
骨膜下血腫 (頭血腫 出産外傷、縫合線を超えない)
【イヤーノートによる分類】
■緊急になる疾患
急性硬膜下血腫
開放性陥没骨折
視神経管骨折
急性硬膜外血腫など
■ プライマリーケアー
■ 小児頭部外傷
■ 頭蓋骨骨折
■ 頭蓋底骨折
■ 脳神経障害
■ 髄液漏
■ 脳挫傷
■ 急性硬膜外血腫
■ 急性硬膜下血腫
■ 脳内血腫
■ 慢性硬膜下血腫
【意識障害による分類】
severe G.C.S.3-8
mild G.C.S. 14と15
Moderate それ以外
severe 10%
mild 80%
Moderate 10%
【急性硬膜下血腫】
〔概念〕とても強い外力で脳と脳表の血管が壊れて脳表に出血
命に関わる最悪の頭蓋内の状態
〔疫学〕頻度;全頭部外傷の1~5%。
重症頭部外傷の12-29%BTF GUIDELINE
(頭部外傷全体の11%)BTF GUIDELINE
好発年齢、性別、部位
・一般に高齢者に多い。
・男性に多い(男:女=3:1)。
・前頭部~側頭部に多い。両側性は2~3%。
〔病理〕発生機序;
①脳表の挫傷による小皮質動脈の損傷(61.5%)
・高齢者に多い。
・死亡率は50~80%と高い。
・
・②脳挫傷を伴わない架橋静脈からの出血(25.6%)
・若年者に多い。
・頻度は少なく、意識清明期をもつ。
〔症状〕(脳圧亢進:ヘルニア切迫)
① 意識障害37-80%はGCS8以下:BTF
GUIDELINE
・受傷直後から呈していることが多い(50~60%)。
・ (病見え)
・意識清明期30-40%(病見え)
・意識清明期を認めるのは30~40%。(少ないがキーワードでよい)20%(イヤーノート)
・意識清明期BTF GUIDELINEでは12-38%
②瞳孔不同30-50%:BTF GUIDELINE
③片麻痺
④痙攣
〔検査〕
画像所見;・CT上、三日月型、凹レンズ型のHDA。
・骨折を認める(50~80%)。
・小児では骨折の頻度は低い。
・骨折と血腫とは関係ない。骨折のない例は若年に多い。
・骨折はキーワードにならない
外力の反対に認める 病見え(80%程度。ことが多い)contrecoup injury
硬膜外血腫との合併(6-14%) coup injury
BTF GUIDELINE
〔治療〕脳圧コントロール
開頭減圧術(もちろん血腫除去も)
〔手術適応
①レベルのいかんに関わらず10mm以上の厚さ 5mm以上のシフト
②GCS9未満の昏睡で意識状態の悪化、瞳孔不同、脳圧亢進(20mmHg)
〔予後〕
予後に影響する因子;
①外傷機転・・・オートバイ事故は最も予後不良。
②年齢・・・65歳以上は不良。(イヤーノート20歳)
③入院時の意識状態・・・GCS3あるいは4の場合は不良。
④術後の頭蓋内圧が45mmHg以上
外傷から手術までの時間は4時間以上で死亡率が59%から69%に増加。4時間を境にして死亡率は30%から90%に悪化するBTF GUIDELINE。(イヤーノート3時間)
Mortality
病見え 40-60%
BTF GUIDELINE
①手術を行った全外傷中の硬膜下血腫のうち 40-60%
②手術を行ったうち重症頭部外傷だったもの 57-68%
【急性硬膜外血腫】
〔疫学〕(ASDH頭部外傷全体の11%BTF GUIDELINE)
EDH CT施行Ptの2.7-4.0%%(BTF GUIDELINE)
〔病理〕出血源
動脈性 (中硬膜動脈)大人では36%
静脈性 板間静脈 全体の32%
中硬膜動脈が多い 病見え、イヤーノート
(中硬膜動脈はキーワードであるが、多いというのはキーワードにならない)
〔症状〕
lucid interval
イヤーノート TCDB 病見え
硬膜下血腫 20% 12-38% 30-40%
硬膜外血腫 70% 47% 15-60%
動脈性6時間
静脈性2-3日 イヤーノート
BTF GUIDELINE
意識障害 入院時22-56%
瞳孔異常 18-44%(硬膜下血腫では30-50%)
痙攣8%
神経学的に正常 3-27%
脳圧亢進症状 ヘルニア切迫
〔検査〕
CT lens shaped(lentiform) high density
Biconvex shaped
骨折 70-90% イヤーノート 病見え
99%は打撃側coup injury
75%は側頭頭頂部
骨から硬膜がはがれるのでほぼ骨折を伴う
硬膜下血腫が大脳鎌により正中を越えないのに対して矢状縫合を超え対側に拡がることがある(通常縫合線は超えないなぜなら骨膜層は縫合線で強く癒着している。ただし矢状縫合では骨膜が矢状洞の外壁になるため矢状縫合との癒着がなくはがれやすい)
〔治療〕手術適応
GCS_8以下 瞳孔不同
レベルのいかんに関わらず30ml以上 ABC/2法
〔予後〕Mortaloty10%(7-12.5%)BTF GUIDELINE
(硬膜下血腫 40-60%よりも良い)
【脳内血腫】
〔疫学:脳実質内の血管の損傷による出血
脳内血腫(20ml以上)13-35%STBIのうち
全体の8.2%
手術適応 ①20ml以上で Midline shift 5mm以上
②STBI(GCS6.7.8) 50ml以上 (BTF GUIDELINE)
countercoup 80%BTF GUIDELINE
(前頭側頭はcountercoup,coupは前頭)イヤーノート
遅発性脳内血腫DTICH(delayed traumatic intraparenchymal lesions)時間を経て拡大するものはほとんど
12時間でMAXのものが84%(BTF GUIDELINE)
80%は遅発性イヤーノート
骨折とは無関係 病見え
〔症状〕
lucid interval60-70%は直後より意識障害
イヤーノート
〔予後〕 mortality 11-18%BTF GUIDELINE
sd/vs/d40% BTF GUIDELINE
SDより良くEDより悪い
【陥没骨折】
陥没骨折 閉鎖 外板が内板より陥没もしくは美容的希望のとき形成術、痙攣等の巣症状
開放 汚染 挫滅創、感染創、前頭洞の骨折
硬膜が損傷して硬膜内外の交通が危惧される(気脳症、髄液等の流出)
〔治療〕
緊急性 10.6%の感染を4.6%に減少、48時間以上では36.5%の感染率
8時間以内イヤーノート
【脳神経損傷】
嗅神経、
(動眼神経12%)、
顔面神経2%、
(三叉神経1.4%)
視神経1.1%
(外転神経0.6%)、
【嗅神経損傷】
頭部顔面外傷の4.2%
最も多いのが後頭部打撲によるcountercoup
Anosmia(完全障害)10‐14%回復嗅覚の出現に数か月
Arch otolaryngol 108:90-92
部分障害の回復率(不完全麻痺の回復率) 40%
嗅神経障害(anosmia完全障害)は
顔面前頭部外傷で出現し半数は治癒する イヤーノート
【視神経管骨折】
前頭蓋底骨折の特異な型。骨折が視神経管にまで及び、骨折縁あるいは骨片により視神経が圧迫され、視神経損傷をきたし、受傷直後より急速に視力障害が出現する。
前額部、特に眉毛外側部を打撲した場合に多い。
患側の瞳孔散大、直接対光反射消失、間接対光反射温存(swinging flashlight test陽性)
手術適応に関して、
1)受傷後視力障害が進行性に悪化するものに関しては手術適応となる。
2)受傷直後より視力が0であるものは視力の回復は望めず手術適応にならない。
3)画像診断で視神経管骨折はないからといって手術適応がないとはいえない。
4)手術時期に関しては、できるだけ早期手術が望ましく外傷後2-3週以内とされている。
視神経管開放術のApproach
1)前頭側開頭を行い、硬膜外からアプローチし、頭視神経管に上方から到達する経頭蓋法
【緊急手術を行う疾患】
緊急手術
EDH
SDH
準緊急
視神経管損傷
開放性の陥没骨折
【blow-out fracture】
眼部の打撲で眼窩内の急激な圧上昇が起こり、眼窩の脆弱な部位が吹き抜けたように骨折する。
下壁に生じることが多い。その次に多いのが内側壁。
眼球運動制限の原因は、外眼筋の絞扼だけでなく、眼窩内の靭帯の伸展、出血、浮腫、外眼筋麻痺 なども影響するため、保存的加療のみで改善を認めることも多い。
手術適応
1.眼心臓反射:迷走神経反射のひとつで、低血圧、徐脈、めまい、嘔気などを生じる
2.white-eyed blowout:眼球が下方転位した状態で固定されてしまっている
3.受傷早期からの眼球陥凹
4.traction test陽性で、画像的に眼窩内容の絞扼がある場合や骨折が大きい場合
traction test:麻酔下に下直筋をピンセットで引っ張ると抵抗があり、他動的にも眼球の上転制限を認めた場合が陽性
手術は、経下眼瞼到達法による眼窩下壁形成術が一般的。
【外傷性髄液漏】
頻度 鼻漏>耳漏
〔検査〕CTにて頭蓋内に空気(気脳症)
髄液との鑑別
①テステープにて糖
②β-2トランスフェリン(糖タンパク質であるβ2-transferrinが外リンパ・髄液に認められる一方で、
血清中には認められないことが判明している)
③ring test 濾紙の上にたらすと二重のリング状となる(血液より髄液の透過性が良いので)
〔予後〕自然治癒 95%以上
7日以内 78%
8-14日17%
50-80%自然治癒(イヤーノート)
〔治療〕二週間以上続くものは開頭による中頭蓋窩よりのアプローチのみ
外傷性髄膜炎
中〜重度の頭部外傷の1〜20%に見られる。受傷後2週間以内。75%に頭蓋低骨折、58%に髄液鼻漏を認める。
外傷性髄膜炎の起因菌は肺炎球菌が多い。
【慢性硬膜下血腫】
〔疫学〕
アルコール多飲
高齢者
軽微な外傷の2週間以後
2-3ヶ月が最多
〔症状〕歩行障害
不全麻痺
記名力低下
〔検査〕CTにて三日月型の血腫
MRI が有用
〔治療〕局麻下にドレナージ
〔予後〕良好
再発8-20%(イヤーノート)
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